不定期連載「コラボの原産地」第 43 回
ストップモーションで描く世界!
監督・見里朝希が語る『キャンディーカリエス』誕生秘話
コラボレーション商品を紹介することを口実に作家さんやクリエイターさんと制作秘話を対談する企画。
今回は、プラバンやアクリルの質感が魅力的なアニメーション作品、『キャンディーカリエス』とコラボレーションさせていただきました。作品の持つかわいらしさやクスッとなるストーリーを表現しつつ、これからの季節に着やすいアイテムを多数ご用意しています。
インタビューでは『PUI PUI モルカー』などの映像作品でも人気のアニメーション監督・見里朝希さんに、『キャンディーカリエス』のコンセプトやストップモーション映像に込めた思い、アニメーションスタジオ「TORUKU from WIT STUDIO」との制作の舞台裏まで、たっぷり伺います。
インタビュアーを務めるのはグラニフのコラボレーション担当、石川です。
ぜひ最後までご覧ください。
虫歯の経験がないから作れた? 『キャンディーカリエス』誕生のきっかけ
石川見里監督の作品をグラニフでコラボレーションさせていただくのは『PUI PUI モルカー』に続いて2度目になります。どうぞよろしくお願いします。
今回のテレビアニメ『キャンディーカリエス』は、どういったきっかけで生まれたんでしょうか?
見里さん(以下、敬称略)東京藝術大学大学院映像研究科の1年生のときに初めてプラバンを使った映像『Candy.zip』(https://www.youtube.com/watch?v=SLemmIBVqwo)を制作したのですが、それをWIT STUDIOのアニメーションプロデューサー・山田健太さんに見ていただいたのがきっかけです。「WIT STUDIOとプラバンをモチーフにしたキャラクターコンテンツを作りましょう」とお誘いいただきました。
見里お声掛けいただいてうれしいのと同時にあまり設定が詰め切れていなかった部分もあったので、まず2021年にパイロットムービー『Candy Caries』(https://youtu.be/95sxj_JR1Ao?si=C0DIgum11vNbGcZo)を公開し、テレビアニメに展開していきました。
石川先にイメージを共有するための作品を作られたんですね。学生作品『Candy.zip』の世界観は『キャンディーカリエス』に繋がるものだったのでしょうか?
見里まったく違う物語と世界観で、「プラバンを使った半立体アニメーション」というスタイルだけを採用した形です。ただ、学生時代に口の中に虫歯が住みついた漫画を描いたことがあり、それが『キャンディーカリエス』に繋がったと思います。
『Candy.zip』はキャラクターの頭身が高く、パイロットムービーもカリエスがもっとセクシーだったりして、そのままではシリーズ化やグッズ展開のビジョンが見えなかったため、より多くの人に親近感を持ってもらえるようデフォルメ化も進めました。
石川物語の制作はどう進んでいったのでしょうか?
見里「アメ」という女の子の口の中に虫歯を擬人化した「カリエス」が住みついていて、虫歯から見ると宿主はお母さん的な存在。そういう見た目と立場が逆転した変わった親子ものにしよう、とコンセプトを固め、「虫歯からすると口の中は家でありお部屋で、もしも歯が家具だったらだったらかわいいだろうな」とイメージを進めました。
石川虫歯というと「かわいい」より先に「痛い」が先に来てしまいがちです。珍しいアイデアですよね。
見里実は、私自身は虫歯になったことがなくて…そのおかげで自由に想像できたのかもしれません(笑)。
石川なるほど。僕は虫歯の経験があるので、カリエスが歯をガリガリやるシーンはどうしても「うわぁ」となってしまいます(笑)。毎話見ていて、カリエスのことが好きになれる絶妙なバランスだな、と思っていました。
見里おっしゃるように「虫歯」はネガティブな要素がある存在なので、描き方は最後まで悩みました。好きになってもらえるよう、カリエスのキャラクターデザインには時間をかけています。
どうすれば「外の世界を知らない、アメの口の中で育っているわがままっ子」のカリエスを気に入ってもらえるか。一方的に宿主を痛めつけるだけでは嫌われるおそれがあるし、娘といってもあまりにわがままで自分勝手すぎると良くない。
ときには痛い目にあったり、ちゃんとアメをお母さんとして慕っているところで物語のバランスを取りつつ、好感度を下げないよう注意しながら進めました。
石川制作開始の段階からアニメシリーズとしてだけでなく、グッズ化など先の展開も考えられていたのでしょうか?
見里必要だと思いますが、最初からあまりそれを意識しないようにしていました。
学生時代にプラバンをモチーフに選んだのは、アクセサリー的なものをたくさん並べたかわいさと、自分が幼少期にプラバンで遊んでいた懐かしさも込みでした。今では平成レトロ的な魅力もありますよね。
『キャンディーカリエス』にもその平成レトロの良さやポップさを活かしたいと思ったのが先で、結果としてアメやカリエスをグッズにして持ち物やバッグにつけたい、と思ってもらえるビジュアルになればいいな、と考えていました。
プラバンとアクリルの魅力、1カットに潜む撮影の工夫
石川僕もプラバンで遊んだ世代で、トースターで焼いて縮んで柔らかいうちに雑誌で挟むと平らになって、こんなにきれいになるんだ! と感動した経験があります。
アクリルもプラバンと同じイメージで使われているのでしょうか?
見里プラバンは焼いて縮めると縦横比や厚みが均等にならないことが多く、予想と違って苦労しました。それでアクリルとレーザーカッターを導入し、厚みを維持しつつきれいなパーツを作れるようになりました。
「ストップモーション」は静止画を1コマずつ撮影して、それをたくさん繋げてアニメにする手法なんですが、とにかく大量のパーツが必要になるんです。作業するアニメーターさんの人数に応じたキャラ数が必要ですし、一人のキャラクターでも右向き・左向き・後ろ向きのパーツが別々にいるので、アクリル素材を採用して本当に良かったです。
石川アクリルによって想定通りのものが作りやすくなったんですね。
見里ただ、プラバンにはプラバンの良さがあります。熱で曲げられる特徴を応用してカリエスの指を曲げたり、第1話で狂人歯医者が身体を起こすモーションなどに活かしています。
プラバンが持つクリアな質感の良さを損なわず、アクリルはアクリルのかわいさがあるので、両方の組み合わせですね。
また、撮影は「マルチプレーン」というスタイルで、ガラス板を何層か重ねてそこにパーツを配置し、真上から撮るのですが、ずっとそれだけでは画面の変化が少なく飽きるおそれがあります。
なのでここぞというときは違う手法で表現しました。カリエスの顔を立体的に変化させたり、アメのお家の外観のカットはプラバンやアクリルを実際に組み立てて立体的に撮ったりと、どの話数にもけっこう手間がかかっています。
石川すごいですね。たしかに、立体的な街並みが回転するカメラワークには驚きました。
見た目の仕上がりやプラバンの曲がり方などは、すべて狙って制作しているのですか? それとも、自然に出てきたものを採用されているのでしょうか。
見里基本は狙ってやっているつもりですが、自然に出てきた良さも多々あります。反射する素材なのでキャラ同士が近づいたときにお互いが写り込んだり、照明の当て方次第で思わなかったツヤ感が出ることもありました。
逆に、デメリットもあります。マルチプレーンのガラス板は時間が経つとホコリが乗りますし、撮影カメラに書かれたロゴや画面外に置いてあるものまで写り込んでしまうこともあり、照明の調整には苦労しました。
石川撮影後、デジタル上ではどれぐらい調整をしているのでしょうか?
見里ホコリや写り込みなど、目立つものはAdobe PhotoshopやAdobe After Effects(アフターエフェクト)というソフトで消しています。
今まではホコリや指紋などは積極的に消していたのですが、今はパッと見てCGと思われてももったいないので、物語が破綻しない程度には残してもいいかな、と思うようになりました。
CGやAI生成といった技術の発展でクオリティの高いものを作りやすくなった今、あえてストップモーションで作る良さを考えると、「手作り感」に帰結すると思います。
実際に人間が手を使って触って作ることの価値は、今後どんどん上がっていくと思います。
石川やはり手作りならではの良さがありますよね。最初に見たときは作品世界に没頭していて気づけなかったのですが、2周目、3周目でお話で伺った部分を探すのが楽しみになりました。
ストップモーションの撮影現場は、どんな感じなのでしょうか? TORUKU from WIT STUDIOのアニメーターさんとチームで撮られているんですよね。
見里実写映像の撮影現場が小さくジオラマになった感じです。暗幕で暗くしたブースに撮影台を置いて、いろいろな照明を当てて撮ります。今回は広さは必要なかったので、ひとつのブースにつき1人のアニメーターが入る程度の大きさでした。
石川実写の撮影はその場限りのワンカットですが、ストップモーションは複数のブースで並行して撮影できるのですね。
見里理論的には場所さえあればブースはいくらでも作れます。でも膨大なキャラパーツが必要になるので、現実的には4〜5ブースで動いていました。
石川監督やアニメーターさんがブース内で一人、黙々と作業されているんですね。
声を入れるアフレコ現場は、どんな感じなんでしょうか?
見里映像ができる前にアフレコするので、絵コンテを見ながら声優さんに演技していただき、撮った音声をもとにアニメーションを作る順番です。口パク用の口のパーツをたくさん用意して、音声を聞きながらリップシンク(音声と口の動き)を合わせていっています。1話の尺が短くテンポが大事になるため、必要に応じて音声を編集することもあります。
石川キャストのみなさんは絵コンテから完成を想像しながら演技をされているんですね。すごいです。
見里アフレコの段階ではこのビジュアルになると予想できないので、完成を見て驚く方も多いです。
撮影は1日かけて4秒! 2分30秒に込めた物語
見里『キャンディーカリエス』は1話が2分30秒という非常に短い作品ですが、物語を思いつくと絶対に5分を超えてしまうので、「いかに削るか」になります。かといって説明的になりすぎると、おもしろみに欠けてしまう。アニメだからこその「非現実的でハチャメチャな要素」をどうやって短く詰め込むかは苦労しました。
石川映像尺より長いストーリーをあとから削っていくんですね。削られた部分のお話もいつか見てみたいです。
ストップモーションの作業は膨大になると思いますが、1話あたりの制作時間はどれぐらいかかるのでしょうか?
見里1話につき、撮影のみで2ヶ月ぐらいかかっていました。1日で4秒撮れたらいい方で、キャラクターがたくさん登場したり複雑なカットは1日で1秒だったりします。
石川そこまで時間がかかるとは驚きです!『キャンディーカリエス』はいつから制作されていたのですか?
見里パイロットムービーも今とは頭身が違ったので、キャラデザインを固めるのに1年以上、並行して設定会議を月1ぐらいのペースでやっていました。他の作品と同時進行でしたね。
キャラクターが決まって絵コンテを描き始めたのが2023年、2024年の夏以降に本格的な造形が始まった感じです。コツコツ作っていました。
石川その時点では、どこでどう発表するかは決まっていなかったのですか?
見里テレビシリーズとは聞いていましたが、媒体や詳細は決まっていなかったと思います。キャラクターの感じが見えてきてやっと「これは誰向けの作品なのか」がわかってくるから、ということもあります。
『PUI PUI モルカー』や幼少期からの影響
石川学生作品から前作『PUI PUI モルカー』までの経験で今回の『キャンディーカリエス』に活きた部分はあるでしょうか?
見里ビジュアルに関しては、『PUI PUI モルカー』のときにかなり形をデフォルメしていて「子どもでも描きやすいキャラクターにしよう」と黄金比の形をモチーフにしたり、車っぽさがあるデザインにしました。それで『キャンディーカリエス』でも思いきって、アメのほっぺをただの丸にしたりと簡略化できたと思います。
世界設定については「キャラクターのかわいさとギャップ」が引き継がれています。
かわいいキャラがかわいいことをするだけのコンテンツは既に世にあふれていて、観客も慣れているので、物語の先が容易に想像でき退屈になってしまうんです。それで「かわいい」と「まったく違う何か」をうまく結び付けたのが『PUI PUI モルカー』であり、『キャンディーカリエス』になりました。
石川『PUI PUI モルカー』ではゾンビが出てきたり、退廃的な世界の回もありましたね。
見里「見た目はかわいいのに物騒な世界観」を楽しんでもらえたと思います。同様に、カリエスも見た目はかわいらしいけど、アメの口から出てくる様子はちょっとグロテスクにしたりしました。
実際の口もよく見るとけっこうグロテスクで、それが良さでもあります。ただかわいくデフォルメして終わるだけではなく、見ている人が受け入れられるぐらいのバランスでグロさも魅せよう、と調整しました。
石川第11話の呪いで歯が延々抜けるシーンもそうですよね。第4話でキャンディーを砕いた粉を危険な薬のように取引するシーンなど、どの話も「あれ見た?」と誰かに言いたくなる作りです。社内でも毎回とても話題になりました(笑)。

見里ありがとうございます。作り手としても理想の形です。
石川ご自身の作品作りにおいて影響を受けたものや、好きな作品はありますか?
見里一番影響を受けたのはカートゥーン ネットワークのアニメ番組『おくびょうなカーレッジくん』です。ピンクの犬が主人公のホラーコメディで、子ども時代にシーンを見ただけでサブタイトルが言えるぐらい繰り返し見ていました。その作りに相当影響されて今のスタイルになっているので、「人生の教科書」と言える作品です。
他には『パワーパフ ガールズ』の、特に初期のクラシックな頃が好きです。かわいらしい見た目をしているのにスーパーヒーロー、なのに世界観は治安が悪い。カーレッジくんも、怖いんだけれどその怖さに惹かれてしまう。そういう「ギャップ」に惹かれて、自分も物語を作っています。
ストップモーションでは「ライカ」というアニメーション制作会社の『コララインとボタンの魔女』を学生のときに見て、「いつかストップモーションを作りたい」という強い気持ちに繋がりました。
石川『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セリック監督の作品ですね。『キャンディーカリエス』を始めるときにも、制作現場にアメリカのアニメーター、テックス・アヴェリー監督の作品集を持参されたそうですね。
見里『キャンディーカリエス』でこういう感じをやりたい、と伝えたときですね。アクリルやプラバンの固い素材は決まった関節で決まった動きしかできず、キャラクターのアニメーションにかなり制約があります。予想を裏切る動きにしたくて、クラシックカートゥーンスタイルを参考にさせていただきました。
オーバーリアクションな昔の『トムとジェリー』のようなおもしろさは時代を超えて今も受け入れられています。アニメーションのおもしろさの原点といえる魅力が詰まっていて、今回の制作にも活かしたいと考えました。
石川『PUI PUI モルカー』と『キャンディーカリエス』の違いでもありそうですね。
見里『PUI PUI モルカー』の場合はコマ撮りらしさより「いかにモルモットらしさを出すか」に重点をおいていたので、カートゥーン的な演出に重きを置いた『キャンディーカリエス』はうまく差別化できたと思います。
石川『キャンディーカリエス』は次回予告も珍しいですね。テーマソング「Telepathy」を担当されたIS:SUEのメンバーのみなさんがキャラクターの姿で担当されています。最初からあったアイデアなのでしょうか?
見里もともとIS:SUEさんとのコラボキャラクター「IC:CHU(イッチュ)」を作る話が先に進んでいました。せっかくなら別の施策もやりたいね、と話が出たときには『キャンディーカリエス』本編は撮り終わっていたので、次回予告ならできる、と制作させていただきました。
石川独特というか、他の作品では見たことがない次回予告で毎回おもしろいです。
見里IC:CHUの完成度は非常に高く、パーツはカリエス達より多いですし、作りも複雑です。キャラクターの厚みも2倍ぐらいあってそれも良さなので、平面の画しかないのはもったいない、とくるっと回して立体的に撮ったりしました。
石川次回予告は全部監督が作っていらっしゃるんですよね。IC:CHUを動かしているのも監督なんですか?
見里はい。回が進むごとに声に合わせて動かしたり回転させたりするのが得意になりました(笑)。
石川画面の外で監督ががんばっていると思うと、またおもしろいです。もう一度見たいと思います。
ストーリーをデザインや質感で楽しめるアイテム、全8種をご紹介!
石川ここからは今回のコラボレーションについて伺います。
見里監督はもともとグラニフをご存じでしたか? どんな印象を持たれているでしょうか。
見里『PUI PUI モルカー』でご一緒したタイミングで知ったと思います。グラニフさんはたくさんの作品とコラボレーションされていますよね。
石川1ヶ月に3回ぐらいコラボレーションの企画があり、年間40ぐらいコレクション作っています。
見里すごいですね。もしかするとモルカーより前から何かのアイテムを見ていたかもしれません。
アニメコラボの服というとファングッズに寄りがちですが、グラニフさんのものは服としてのおしゃれさがある印象です。
石川ありがとうございます。グラニフでは「グラフィックデザイン」「アパレルデザイン」「雑貨デザイン」「コラボ作品」のそれぞれに軸足を置く4つの部署の合議体でデザインをしています。
グラフィックとして良いものをデザイナーが起こし、アイテムにどう落とし込むか・刺繍やパターンはどうするかをアパレルデザインや雑貨デザインの部署が考え、「このデザインならこういう要素を入れたほうが、もっと作品世界を表現できます」と僕らの部署が指摘する、とキャッチボールしながら商品開発しています。
ファッション的にもストーリー的にも作品を表現するアイテムになるよう、気をつけています。
見里なるほど。だから洋服の中に物語を感じられるデザインになっているのですね。
石川なるべく、人気キャラクターのグラフィックをドンと入れる<点>のデザインではなく「このキャラはこういうところが愛されているから、このシーンも入れて洋服でストーリーを表現したいね」と、<線>のデザインを目指しています。今回もTシャツのポケットやパーカーに仕掛けを入れたり、スタッフ達とプリントや刺繍のベストな配置を探してデザインさせていただきました。
見里作品へのリスペクトに繋がっていて、クリエイターとしてはとてもありがたいです。
石川今回のコレクションは1シーズン12話の作品で作らせていただきましたが、見里監督が一番印象に残っているエピソードはあるでしょうか?
見里毎話バリエーション豊かなので、これだ!と決めるのは難しいのですが、個人的に思い出があるのは第11話の呪いの話です。自分が絵コンテを描いたというのもあって、かなりやりたい放題やらせてもらいました(笑)。
石川いろんなホラー要素がありましたよね。特にアメちゃんの歯が抜けるところは、衝撃的なのにより作品を好きになれるシーンです。好きすぎて、今回のコレクションでもTシャツのデザインに入れさせていただきました。
見里実は、キャラ設定を1話で伝えるには短すぎて、第1話を求められたタイミングで第11話を出したんです。「虫歯を擬人化していて宿主の女の子はママ」なんて一瞬聞いても「?」ですよね。だからちゃんと順を追って「この回ではこの情報を解禁して、この回ではアメの歯が抜ける、実はそれがカリエスにとっては部屋の一部…」と説明して整理していったのですが、大変でした。その整理がついてようやく、第1話が作れた形です。
石川僕らもコラボ企画で「このシーン好きだから」と作品の物語を感じるアイテムをたくさん作っているときに、「やっぱりコレクションの顔になるわかりやすい商品も必要だ」とラインナップを調整することがあります。共通点を感じました。
では、コレクションアイテムを全種類、見里監督と一緒にご紹介します。
かわいさと仕掛けたっぷりのTシャツ全6種
石川まず、「CANDY CARIES」のタイトルロゴに、キャラクターやアイテムのモチーフを取り入れたTシャツです。
最初の段階では「各話のシーンを活かしたデザインにしよう」と話していたのですが、それだけだと物語に入り込みすぎる印象もあったので、コレクションの看板になるアイテムを作りました。
そのままのタイトルロゴを使った商品は他でもたくさん出ると思いますので、せっかくならグラニフらしいものを、と僕らなりの解釈でロゴを再構成させていただきました。
タイトル文字にカリエスがDIYする様子やテレビに歯の妖精が映っているところ、カリエスの彼氏のハロルドを入れたりして、作品の入り口になるデザインに仕上がりました。
見里プラバンとアクリルの制作は「アクセサリーを並べたようなビジュアルのかわいさ」がきっかけでしたので、まさにその要素が活かされていますね。
石川バックには元のタイトルロゴもプリントし、全体に作品の世界観をぎゅっと詰め込んだデザインになっています。
石川これも作品紹介の意味合いがあるのですが、第1話より診察台に縛り付けられたアメをフロントにプリントしたTシャツです。バックには狂人歯医者のデザインをシルクプリントしています。
「アメちゃんはなぜ怖がっているの?」から「後ろに狂人歯医者がいるから」と2コマ漫画的に物語を表現しています。
見里これも着やすそうですね。赤ちゃんのようなアメが張り付いている様子もかわいいです。
石川アメちゃんがそのままTシャツに張り付いたようにも見えるデザインで、一緒にお出かけできる感じもあります。生地はスミクロで、黒Tシャツとはまた違う印象になっています。
石川先ほどのお話にあった第11話より、「カリエスの呪い」Tシャツです。フロントはアメちゃんにさまざまな呪いをかけるカリエスをメインにした集合グラフィックを、大きくプリントしました。バックには呪いによって永遠に歯が抜け落ちてしまうアメを線画で起こし、シルクプリントしています。
第11話は印象的なシーンがたくさんあり、どれか1つだけではもったいないのでこういったデザインになりました。
見里これは個人的にとても好きです。要素の多さに対して色数は少なめで、着やすそうですね。
石川ぜひ監督にも着ていただけたらと思います。
グラニフでよく扱う映画ポスターのようなグラフィックでTシャツにしたら合うんじゃないかと話し合い、クラシックなホラー映画を思わせるテイストやロゴの表現をさせていただきました。
石川「DO NOT EAT CANDY(キャンディ禁止)」をテーマにしたビッグシルエットTシャツです。
フロントはアメの口の中にカリエスがいるデザインと文字をプリントし、バックに「アメ禁止」のマークをシルクプリントしました。
絵としてはマットな質感ですが、髪の毛の部分にジェルプリントを採用し上からジェルを重ねて、作品の持つツヤや透明感を再現しています。
見里すごい。ジェルの凹凸感も少しあるんですね。おもしろいです。
石川次はカリエスが主体のデザインTシャツです。自由奔放でDIYが好きなカリエスのキャラ性を、イニシャルの「C」にポップに落とし込みました。バックにはカリエスがメインになっているのが不満なアメの姿をシルクプリントしています。
見里おもしろいですね。デザインを見たときからすてきだな、と思っていました。
石川デザイナーと「洋服としても楽しめるものってどういうものだろう?」と話していて、今回のメインターゲットは明らかに僕ではないので(笑)、20代の女性スタッフに「どっちが着たい?」など意見をもらいながらデザインを進めました。
フロントの絵柄はインクジェットプリント、「DO IT YOURSELF」の文字部分はフロッキープリントを採用していて、質感の違いもお楽しみいただけます。
石川第3話で印象的な目がキマっているカリエスが好きで、アメちゃんの歯を大きく育てようとするカリエスの姿をポケットTシャツにデザインしました。ポケットを歯に見立て、そこに歯を育てようとするカリエスを刺繍しています。
バックの肩にはアメちゃんがちょんと乗っています。
見里ポケットが歯というのがおもしろいです。これも物語を感じるデザインですね。
石川ポケットが歯だということが伝わるように、歯と歯茎に見立てた白とピンクのポケットを重ねています。ストーリーを服に落とし込んだ「歯を着るデザイン」です。
ストーリーを散りばめた半袖パーカーとキャップ
石川「秘密の取引」半袖パーカーです。第4話で砕いたキャンディ粉をこっそり受け取る取引シーンを、パーカー全体でデザインしました。
パーカーはフードを下ろして着ることが多いので、背中のフードで隠れる部分を物陰に見立てて、取引する二人を刺繍で潜ませています。ポケットの中には取引した粉がシルクプリントで入っています。
フロントには、アメちゃんとカリエスの要素をシンプルにしたアパレルらしいデザインを刺繍しています。文字のAME(アメ)とCARIES(カリエス)を、二人の縁を結んでいる虫歯で繋ぎました。
見里おもしろいデザインですね。刺繍も楽しいです。
石川ひと味違った質感をお楽しみいただけると思います。
石川パーカーのフロントと同じ刺繍デザインでキャップも作りました。キャップに虫歯の跡があったらおもしろいだろう、ということでサイドにあしらっています。
見里なるほど、すごくいいですね。
石川パーカーをはじめ、コレクションのどの服とも合わせやすいと思います。
アイテムの感想と『キャンディーカリエス』今後の展開について
石川コレクションアイテムをすべてご紹介しました。監督が気に入るアイテムはあったでしょうか?
見里悩みますね。第11話の呪いのTシャツはいいなと思いました。
石川上にアウターを羽織っていただいて、中から見える感じもかわいいと思います。
見里刺繍も好きなので、ポケットTシャツも完成が気になります。パーカーのプリントや白い粉で物語を感じる仕掛けもよかったです。なかなか1番を決めるのは難しいですね。
石川ありがとうございます。いっぱいお気に入りがあった方が、僕らとしてはうれしいです(笑)
スタッフさんに伺ったところ、監督は刺繍の服をよく着るそうですね。
見里そうですね。それこそ昨日もグラニフさんとコラボレーションしたモルカーの刺繍の服を着ていました。
石川ご自身の作品の服を着ることは、よくあるのでしょうか? クリエイターの皆さんにインタビューすると恥ずかしい、という方もいらっしゃいますが…。
見里着ます! 一時期はずっと全身モルカーの服を着ていました(笑)。
石川ぜひ、このコレクションもたくさん着ていただけたらと思います。 今回のコレクションは、アクリルやプラバンのツヤ感を服で表現してみたいし、キャラクターのかわいさをアパレルらしい刺繍で表現したい、という両方の狙いがありました。難しかったのですが、全体的にバランスが取れた仕上がりになっていると思います。
監督は最初から商品になることを想定してデザインされたと伺いましたが、その想定にかないましたでしょうか?
見里期待以上になっています。ジェルプリントや刺繍を使った質感も、実際の仕上がりが楽しみです。
『キャンディーカリエス』の「半立体的なアニメーション」としての展開に加え、今後は平面のスタイルとも相性がいい展開をしたいと思って制作していましたので、その両方が今回のコレクションで成し遂げられている印象を受けました。
平面で見てかわいいく、素材感や質感を活かしたものもあり、なおかつ「かわいいだけで終わらない」アイテムにしていただいてうれしいです。
石川現時点ではデザインシートの段階でしたが、既にかわいい商品ができる手応えがあります。デザインの段階でかわいいと思えるものは、加工が上がってくると想像以上にかわいくなることも多々あるので、ぜひ楽しみにしていてください。
『キャンディーカリエス』の今後の展開は、どうなるのでしょうか? お話いただける範囲で教えて下さい。
見里最初の12話分は、どちらかというとキャラクターや世界観の説明に重点を置いていました。それが伝わったタイミングの13話以降は、もっと作品世界の様子がおかしくなっていくのではないかと思います(笑)。
やりたい放題やっている話数が増えているので、よりハチャメチャが楽しくなると思います。
石川第11話の時点でもかなりハチャメチャでしたが、今後もっと暴れていくんですね。
見里そういう話はけっこう多いと思います(笑)。「虫歯」と「親子」のテーマを軸にしつつ、いろいろなバリエーションで物語をお見せできると思いますので、2クール目もぜひお楽しみに。
石川最後に、ここまで読んでくださった皆さんに一言、お願いします。
見里『キャンディーカリエス』の1クール12話に興味を持って追ってくださって、感謝しています。
2分30秒という短い尺の中とてつもないテンポで展開されるので、どうしても見逃してしまう要素が出てくると思います。見どころがいっぱいありますので、何度も見返して新たな発見をお楽しみください。
今後、よりドタバタで予想を裏切る展開が待っていますし、話が進むにつれキャラクター達の新しい魅力に気づいていただけると思います。アメとカリエスの温かい絆も感じられますので、引き続き見ていただけるとうれしいです。
作品やキャラクターは商品化したときのかわいさも考えてデザインしましたので、あわよくば(笑)今回のグラニフさんとのストーリー感じるおしゃれなコレクションや、今後展開する『キャンディーカリエス』アイテムをご購入いただき、お楽しみいただければ幸いです。
石川これからの季節に楽しんでいただけるよう、良いコレクションをお届けしたいと思います。
見里僕もそれまでにもっとたくさんの方に『キャンディーカリエス』を見ていただきたいと思います。
石川今後の展開も楽しみです。本日は貴重なお話をありがとうございました。
TVアニメ「キャンディーカリエス」
TVアニメ「キャンディーカリエス」公式Web
ぷっくり!ズッキン!わたしをむしばむお口の住人
甘いものが大好きな子ども・アメ。口の中には虫歯の『カリエス』が暮らしていた!
アメのことを「ママ」と呼び、歯を家具にしたり身体を乗っ取ったりと自由奔放なカリエスに、アメはいつも振り回されてばかりで…。
「わたし、ママじゃない!」
「ママでしょ♡あたしのためにお部屋用意してくれてるし、いつも甘いもの食べて育ててくれてるじゃん」
アメとカリエス――ちょっぴり変わった親子!?のドタバタ日常コメディ!
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原作:見里朝希/ WIT STUDIO
監督:見里朝希
制作:TORUKU from WIT STUDIO
ⓒTomoki Misato/WIT STUDIO/ トゥースフェアリーズ
PROFILE

石川 祐|株式会社グラニフ
ライセンスプロデューサー グラニフのコラボレーション責任者。コラボ商品の企画立案から商品リリースまでを総合プロデュース。作家や作品に寄り添い、一人のファンとして、商品開発に取り組んでいる。趣味はエンタメ全般、他人の趣味の話を聞くこと。
編集:石川祐/文章:kao/写真:Hiroya Asai
キャンディーカリエス コラボレーション フォトギャラリー
撮影:村本祥一<BYTHEWAY>
















































































