Beautiful Shadow!
絵本誕生までの制作ストーリー
いたずら好きな黒いキャラクターが、自由自在に駆け巡る。
グラニフの人気グラフィック「ビューティフルシャドー(Beautiful Shadow)」は、
2009年の誕生から14年に渡って変化し続け、たくさんの人に愛されてきました。
4月中旬には、自然の中で遊ぶ姿が楽しい絵本『ビューティフルシャドーのかくれんぼ』が誕生します!
ビューティフルシャドーとは?
ブランドが掲げる「遊び心」を具現化したビューティフルシャドーは、どんな時も楽しむ気持ちを忘れずに、自由気ままに過ごすキャラクター。グラニフが生み出すアイテムに潜り込み、長い手足であちこちと縦横無尽に動き回ります。初登場は2009年のTシャツ。年月を重ねるごとにパーカーやワンピースなどのアイテムカテゴリーも増えていき、フードから好奇心満々に顔をのぞかせたり、ポケット内に隠れたりするようになりました。
無限の可能性を持つキャラクター
ビューティフルシャドーが
絵本になるまで
ラフを通じて、構図や色彩のイメージを制作スタッフたちと共有し、練っていった。
キャラクターが自然に溶け込みながら、楽しそうに遊ぶ絵本『ビューティフルシャドーのかくれんぼ』。この絵本について、絵を担当していただいたeto氏とグラニフ・デザイナー西の二人が対談しました。
── まず、ビューティフルシャドーについて、教えてください。
西:グラニフはもともとTシャツ専門店(Tシャツをメインのアイテムとして展開している会社)で、ビューティフルシャドーはTシャツというフォーマットの中で、実験的に生まれてきたキャラクターでした。とてもシンプルな構成要素のキャラクターグラフィックで、タイポグラフィと組み合わせてみたり、刺繍で表現してみたり、アイテムやグラフィック表現の中で遊びながら進化していきました。シンプルなので、どんなふうにもアレンジできるのがおもしろくて、いまはデザインチーム全員で、アイデアを出しながら制作しています。
eto氏(以下敬称略):グラニフは私もよく行くお店で、ビューティフルシャドーは知っていましたが、お店に並んでいるときは名前があると知りませんでした。いつも隠れている妖精のような存在でしたね。サイトを見て、はじめて名前があるんだと気づきました。
西:最初は今とは全く違う名前で呼ばれていましたし、当時は店舗などで特別にキャラクターを前面に打ち出していたというわけではありませんでした。さまざまなグラフィックバリエーションと年月を経て、今のようなビューティフルシャドーとして確立され、多くのお客様から愛される存在になりました。
eto:今回、絵本を作るというお話をいただいて、改めてビューティフルシャドーを見たときに、私の描く絵の世界観に近いのかなと感じたんです。私も作品の中に、小さなドアと鍵、小さな妖精のような存在を描いて、探し絵遊びのように楽しんでもらうことが多いので、かくれんぼの要素が似ているなと思いました。
西:そうなんですね。グラニフも新しい試みとして、絵本を作るにあたっては絵本ならではの作家性がほしいと思っていました。出版社の担当編集の方からetoさんを紹介していただいたときに、ビビッときたんですよ。この世界観でビューティフルシャドーを描いていただけたら、すごく素敵な絵本ができるなと感じました。そしてetoさんは、絵が素敵なのはもちろん、デザインの感覚も持っていらっしゃるなと感じました。ビューティフルシャドーはしゃべらないし、表情もあまり作らないようにして、仕草やシチュエーションで伝わるように表現しています。だから絵本も、絵に魅力があることと、グラフィックデザインとしての構成力があることの2つを成立させられる方に描いて欲しいと希望しました。
eto:ありがとうございます。絵本はデザインというか、レイアウトして作っていく感覚を持って描いているので、嬉しいです。私も暮らしの中で楽しめるもの、ハッピーになれるものを作りたいと思っているので、ビューティフルシャドーのコンセプトとフィットした感覚があって、すぐにお受けしました。
── 今回発売する絵本『ビューティフルシャドーのかくれんぼ』は、自然の世界を優しく描いていますが、この絵はどんなふうに描いているのですか?
eto:私は手描きで線を描いて、パソコンで組み合わせたり彩色をしたりして仕上げています。パーツをバラバラに描いて、版画のように重ねているんです。
西:完成する絵本と同じサイズで描いているんですか?
eto:少し小さめに描いて、パソコンで拡大しています。『はるとスミレ』という絵本を描いたときに、リソグラフの版のサイズに制限があって小さく描きました。
eto:でも自由さや勢いを出したい部分は、大き目のサイズの紙で身体的に描いたものを採用しました。今回も、ローラーやクレヨンを使って質感を出し、水や土などの自然を表現しました。
西:こんなふうに手法を凝らして作ってあるから、etoさんの絵には深い魅力があるんですね。今回の絵本は、親子で読んでいただくときに自然(時間・気象)などの世界観を感じていただけるものというテーマで作っていますが、ひとつのグラフィック作品としても素晴らしいものに仕上がっていると思います。
eto:そう言っていただけてよかったです。ビューティフルシャドーは自然の一部のような存在というのが共感できるところだったので、絵本を通して、まず空の移り変わりや土、水を意識して描きました。これを見て本当の夜明けの色も見てみたいと思ってくれるかもしれないし、お子さんが自然に触れるきっかけにもなってくれたら嬉しいなと思っています。
西:この夜明けのシーン、すごく素敵です。ビューティフルシャドーには、自由気ままな中にも世界観があって、etoさんがその世界に入って描いていただけたのが伝わってきて嬉しかったですね。雨のシーンなどは、見開きの大きな画面で魅せる、という意識を持って描いてくださっていると感じました。
eto:絵本って、開いたときに、「あっ」と何かを感じて、次のページをめくりたくなるものにしたいので、そこは意識するようにしています。
西:ページごとに、こんなふうにビューティフルシャドーが変化していくのかと感心しました。
eto:でも途中で、西さんに相談したこともありましたよね。鳥がビューティフルシャドーになっているように描こうとしたら、表情がシンプルなので、鳥がどうやっても、ただの鳥にしか見えないんですよ。
西:あれは構成を考えて、最終的には描かないことになりました(笑)。ビューティフルシャドーって形もシンプルですが、グラフィックとしての自由度を持たせるために、キャラクター的な特徴(ルール)もあまり設けていないんですよね。
eto:そこが非常に…難しかったですね。
西:そうですよね。そこにチャレンジしていただきありがとうございます。少なくとも、見て嫌な気持ちにならないというグラニフとしてのマナーはあって、etoさんの優しい豊かな表現とすごくマッチしたと思います。
eto:他にも奥の山に顔を描いたら、ない方が空がきれいに見えるからとやめたこともありました。おかげで、原っぱ、森、夜明けから花畑へと移り変わっていく風景が際立ちました。自然の中にビューティフルシャドーが見え隠れしているので、絵本を読み終わってからも、身近な自然の中に何か不思議な存在がいるかもしれないと、読者のみなさんに思っていただけたらいいなと思います。
西:本当に、etoさんの絵を見て感じていただけることがたくさんあると思っています。絵本を読んでから、「あの影の形はビューティフルシャドーに見えるね」「あの雲もきっとそうだね」と想像したり。そういう会話も生まれていったらいいなと思っています。
── グラニフのコレクションで気に入っているアイテムはありますか?
eto:もともとグラニフにはよく行っていますが、実は夫の方が好きで、夫の服はほとんどグラニフなんです。私も絵本のコラボはよくチェックしていて、子どももクラスでうけそうだからって、グラニフのラーメンのTシャツを選んで買っていました。ビューティフルシャドーでは「アウトオブボディ」、こういうのおもしろいですね。
西:これは「幽体離脱」をシルクスクリーンでTシャツにプリントを重ねて表現しています。ビューティフルシャドーの色の重なりを調整するのに苦心しました。
eto:わあ、重なっているんですか。すごい。
西:幽体離脱しているコンセプトなので、寝ている実体の色と抜け出てきている方との色差を、真剣に悩みました。
eto:このスケボーのビューティフルシャドーは、転んで顔が取れちゃっているんですね。衝撃的!
西:実はスケボーが裏返った絵なのですが、ビューティフルシャドーの顔にも見えるように表現しています。フロント面はスケボーをしていて、バックプリントに転んだところとして入れました。気づいた瞬間がおもしろい。このデザインのように、社員がおもしろいと考えたアイデアをみんなで楽しく形にしていける会社ですね。
eto:働きやすそうですね。
西:自分たちの楽しんで作っている雰囲気を、お客様にもお届けできたらと思っています。見た人が「なにそれ!?」とおもしろがってくれることも大切にしたいです。グラニフのグラフィックアイテムをきっかけに、様々なコミュニケーションが生まれたらいいなと思います。絵本も親子の会話の糸口になってほしいですし、大人の方にも楽しんでいただけたら嬉しいですね。
(2023年2月17日、グラニフ本社にて)
『ビューティフルシャドーのかくれんぼ』 (303BOOKS刊)
4月19日(水)graniph店頭で先行発売
4月21日(金)全国書店で発売
価格1,320円
Profile
eto(えと)
武蔵野美術大学・視覚伝達デザイン学科を卒業後、エディトリアルデザイナーとして勤務。その後、フリーランスのイラストレーターに。教科書の表紙、雑誌、書籍、文具、テキスタイルに描く傍ら、作品を生かした暮らしの雑貨ブランド『etocoto(R)絵と子と暮らす』にて、雑貨の制作・販売も行う。2021年、Pinpoint Gallery 絵本コンペにて最優秀賞、ボローニャ国際絵本原画展コンペにてファイナリスト選出。絵本『はるとスミレ』(偕成社)出版。2023年6月19日~24日に表参道のPinpoint Galleryにて、2人展を開催予定。
プロダクトディビジョン デザインセクションマネージャー
西 冬樹
デザイン事務所勤務、フリーランスを経て2009年グラニフに入社。チームマネージャーとして、個性的なメンバーと共にグラニフのオリジナルコンテンツやライセンスコラボレーションのグラフィックデザインを制作。オリジナルの制作グラフィックはラムチョップ、ライドオンシューティングスターなど。
ビューティフルシャドーは多種多様に進化し続ける
グラニフのデザイナーたちが、それぞれの持ち味で創り上げているビューティフルシャドー。基本の色は黒ですが、時としてカラフルな姿を見せることもあります。ストリートタッチやファンタジーテイストなど、どんな年齢やどんなライフスタイルにも寄り添っていける、変幻自在な姿が魅力のひとつ。そのコミカルな動きやしぐさと共に、いろいろな姿、形に変化してきました。
遊び心がとまらないビューティフルシャドーが続々と!
今シーズンのアイテムを総チェック
ストリート系ファッションからバルーン袖のワンピースまで、
常に新たなるモチーフで挑戦し続けるビューティフルシャドー。
お気に入りのアイテムを探してみて!
本当はネコをかぶっています…!?
シンプルな心の内をさらけ出したTシャツ
おとなしそうにする素振りだけで、今日も新たなイタズラを考える、ネコカブリ・ビューティフルシャドーのデザイン。風合いの良い天竺を使用した半袖&長袖Tシャツで、爽やかさを演出します。
これぞ王道の
グラニフ定番の半袖Tシャツ
突っ込みどころ満載のデザインがコミュニケーションのはじまり
春の新作Tシャツは、ビューティフルシャドーが浮世絵風の格子窓の中でリラックスしたり、幽体離脱で魂が浮き上がったり…。「これって何?」と突っ込まれたら、そこからコミュニケーションが始まります。
UFOが現れた!
よく見ると吸い込まれてる!
異素材の組み合わせも凝っているアイテム
所々にUFOに連れ去られる牛や馬の姿があしらわれたユニークなデザイン。最後はついにビューティフルシャドーも吸い込まれていきます。半袖Tシャツは、後ろ身頃に布帛(ふはく)を使用し、少し長めのドロップショルダーにするなど、シルエットにもこだわっています。
モノトーンコーデでアクティブに
でも「頭痛」と「腰痛」にはお気をつけて
イタズラ好きで、時には羽目を外し大暴れするビューティフルシャドー。しかしキャップには、調子に乗りすぎて頭痛の表情が。Tシャツには勢い余って腰痛持ちの姿。「腰には気をつけて」というメッセージがバックに。
何にでも合わせやすい
シンプルトート
ジッパーを開くとしゃべり出しそう
フロントに目と口がデザインされた、キャンバストート。シンプルかつユニークなデザインは注目の的に。合わせるのは、ウォッシュドな風合いが特徴の頭痛持ちハット。バックにさりげなくTAKE CARE OF YOUR “ATAMA”と日除け対策を促すメッセージが。
満員電車のように、わらわらと集合
一人だけ違う子を探してみて
群れるビューティフルシャドーの中に、白い個体がひとり。「群衆のなかの個」をキャラクターで表現しています。カーディガンの胸には、ビューティフルシャドーの目と口のみをデザイン。裏地にはあんなにたくさん隠れているのに…!
ビューティフルシャドーがいない…と思ったら
実はたくさん潜んでいます
UVカット加工付きで、さっと羽織れて小さくたためる、春夏に重宝するカーディガン。着ているときは左裾のビューティフルシャドーのワンポイントのみですが、裏地にビューティフルシャドーがたくさん隠れていて、脱いだときの楽しみに。
心の鍵穴をのぞいてみたい
ゆったりシルエットのロングスリーブシャツ
鍵穴から足を出し、侵入をはかるビューティフルシャドーの姿は、何か物語が始まるような予感。しなやかな生地でゆったりと着られる上、バックのボタンでサイズ感の調整も可能です。
大人かわいい上品な組み合わせ
散りばめられた隠しビューティフルシャドー
ニュアンスのあるウィンドウフレーム柄のプリーツスカート。よく見るとウィンドウにぶら下がったり腰かけたりするビューティフルシャドーがあちこちに見られます。ウエストゴムのAラインシルエット。軽いニット素材のカーディガンはボタンがビューティフルシャドーの顔に!
スケボー好きにはたまらない
切り返しを坂に見立てて技を決める!
スケボーを楽しむビューティフルシャドーたちをあしらった、ストリートデザイン。配色の切り替え線を坂に見立てて、ボードをバウンドさせて空中を飛ぶ技「オーリー」を決めています。ゆったりしたスタイルながら、動きやすい組み合わせです。
さりげない刺繍が小粋な
ストリートファッション
ラグランスリーブのナイロンジャケットと、伸縮性のあるジャージー素材を使用したトラックジャケット。どちらも着心地よく、動きやすい仕上がりになっています。スケボー姿のビューティフルシャドーのさりげない刺繍に注目!
シンプルに見えて実はここにも!
春はボトムスで差をつけて
ポケットに点、水玉模様と思って近づくと、ビューティフルシャドーの顔が見えてきます。セミタイトのスカートはフロント左に顔の刺繍、バックポケットにドットプリント。デニムパンツは、裁縫をしているビューティフルシャドーたちが遊ぶ、愛嬌たっぷりのデザインです。
親子コーデ、兄弟コーデに
インパクト大。目と口が語る
ビッグ&スモールデザイン
顔いっぱいにズームされたビューティフルシャドー。ジャケットはバックに、Tシャツはフロントに顔がデザインされています。デニムジャケットは固すぎず柔らかすぎずの程よい厚み。オーバーサイズで着こなして。キッズのサイズのTシャツは、手触りの良いパイル生地を使用。
正座&捻挫の痛すぎる足をアピール
それはどうにもなりません
頭痛・腰痛に続く、“痛い”シリーズ。いつも活発なビューティフルシャドーが勢い余って捻挫した模様。おとなしく座っていても、長い正座に足がビリビリ……。細かなグラフィックをジャカードで表現したソックスと、吸水性抜群のミニタオルです。
音楽の世界で遊ぶビューティフルシャドー!
音符とたわむれる姿に気分も上がります
音符を持ち上げたり寝転んだりと、自由に遊ぶビューティフルシャドーたち。ワンピースはタックが入ったバルーン袖で、その隙間から黒いシルエットがのぞきこみます。サイドにポケットとスリット付き。
ミュージックシリーズは雑貨も
五線紙と戯れるビューティフルシャドー
音符を持ち上げたり寝転んだり吹き飛ばしたりと、自由に遊ぶビューティフルシャドーたちの無邪気な姿にいやされます。A4サイズ対応のクリップボードは、ペンホルダーつき。ノートの中でも五線紙で遊ぶ姿が描かれています。
コンパクトな財布にひそんで
毎日連れていってほしい
周囲を囲むようにジップが付いているので、中身のこぼれ落ちもなく安心な二つ折り財布。腕を組み、首をかたむけて深く考え込むビューティフルシャドーは、開いた中面でもまだ考え込んでいるよう。キュートなドットデザインは、ひとつひとつのドットが顔になっています。
肌触りの良いリラックスアイテム
表情を見ているだけで気分がなごみます
不定形のドットパターンに現れる表情がユニーク。ニット素材のクッションカバーとブランケットはグラフィックをジャカード織で表現。ルームシューズはクッション性のある柔らかな履き心地。おうちでリラックスするには欠かせないアイテムになりそうです。
身のこなしは軽いですが
ずっしり頑丈な守りが特長です
スケボーで躍動するビューティフルシャドーを描いたデザイン。スチール製の収納ボックスは、東洋スチールと開発した重厚な金属製で工具入れとしても使える頑丈さがポイント。プラクリップは大きく開く仕様で、ギザギザのはさみ口でお菓子の袋などもしっかりはさめます。
撮影/村本祥一<BYTHEWAY> 構成&文/日下淳子