2024.6.26

不定期連載「コラボの原産地」第8回です。

コラボレーション商品を紹介することを口実に、
作家さんやアーティストさんと制作秘話を対談する企画です。

今回インタビューさせていただいたのは、イラストレーター・中村佑介さんと、画家・ヒグチユウコさんです。
お二人にはNetflixで独占配信中のドラマシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』の
コラボレーションのために、すばらしい作品を描き下ろしていただきました。

今回もインタビュアーを務めるのは、グラニフ ライセンスプロデューサーの石川です。

Netflixのオフィス内にある試写室にお邪魔してインタビューさせていただきました。

豪華な対談になっています。ぜひ最後までご覧ください。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』について

*写真に写っている鳥はヒグチユウコさんの仮の姿です。

■ストレンジャー・シングスとの出会い

石川今回、グラニフと『ストレンジャー・シングス』のコラボレーションのために、中村さんとヒグチさんに描き下ろしをいただきました。ということで、お二人と対談をさせていただきます。とても光栄なインタビューを、本当にありがとうございます。よろしくお願いします。

中村さんヒグチさん(以下、敬称略) よろしくお願いします。

石川まず、『ストレンジャー・シングス』についてお話ししたいと思います。率直に、僕からお話をさせていただく前から『ストレンジャー・シングス』はご存じでしたか?

中村もちろん大好きでした。僕が最初にNetflixに強く興味を抱いたのも『ストレンジャー・シングス』が始まってからなんです。

石川『ストレンジャー・シングス』を見ようと思って加入されたんですか?

中村そうです。『ストレンジャー・シングス』を見始めたら、だんだん『バキ』や、映画『西部戦線異状なし』も始まって、配信オリジナルなのに表現が鋭いものが多いことに気付きNetflix内でいろいろ見るようになって、最近はもうずっと入ったままです。『ストレンジャー・シングス』は音楽も出てくるカルチャーも僕世代にとっては懐かしさをくすぐられます。確かシーズン3かな、ダスティンがキャンプから帰ってきてみんなで驚かせようとしてるところで、トランスフォーマーのウルトラマグナスという玩具が映ってて、ああ、やっぱりそれぐらいの時代の話なんだな、と鼻の奥がツーンとしました。

石川中村さんはもともとトランスフォーマーがお好きだから、そこに気づかれたんですね。

中村それもありますが、当時のアメリカでは日本以上にトランスフォーマーは爆発的人気だったと聞きますね。サントラや設定資料集も海外から取り寄せたりして。

石川すごい。破れている風だったり、あえてボロボロに見えるようになっているんですね。

中村そう、新品ダメージジーンズのような発想で、もともとボロボロ風に破けていたり、わざと古本のシール貼ってたり。シミや落書きも実は印刷で、ストレンジャーシングスの時代設定やコンセプトに合わせた装丁でスゴイんです!

石川とてもかっこいいですね。ありがとうございます。

ヒグチさんも元々『ストレンジャー・シングス』がお好きだったそうですね。どのタイミングから見始めたんですか?

ヒグチシーズン1から見ています。基本的に映画が好きなので、仕事のためもあって配信サービスはほぼ入っていて。Netflixで最初に見たドラマは『ストレンジャー・シングス』だったかもしれません。最初から人気でしたよね。ちょうど子役の方たちが、他でもすごく活躍し始めたタイミングで、いろんなところで見ていたんです。マイク役のフィン・ヴォルフハルト君は映画『IT/イット THE END ”それ”が見えたら、終わり。』にも出ていて、お仕事をさせていただいたので知っていて。

子どもたちがとてもかわいいし、少年たち、先輩世代、親世代と3世代出てくるバランスのよさが、なんとも言えなかったです。

カルチャーという話でいうと、カードゲームをしてますよね。実際にあの時代は日本でも遊んでる子がたくさんいたし、私の周りでも思い出だという人がいて。でも、彼女ができたり違う世界ができたりすると、だんだんその輪から抜けていくじゃないですか。あのキュッとする切なさみたいなものも、何かちょっといいよね、と周りの人と話していました。

石川シーズン3ぐらいから、男の子だけで遊んでいるだけでなく、恋愛の話だったり少しずつ「いつまでもゲームで遊んでいるわけじゃない」みたいな感じがありましたよね。実際にだいたいの人が通ってきたような、自分も経験しているような既視感がありました。ドラマの話で仲良くなれるだけでなく、当時『ダンジョンズ&ドラゴンズ(以下D&D)』みたいなゲームを遊んだよね、と共感する盛り上がりも得られますね。

中村そう、その感覚はとくにまた、最近ありますよね。『D&D』自体も最近映画になってヒットしたり。みんなの感覚が「あのときのあれ、よかったよね」となっているというか。レトロゲームがまた流行ったり、任天堂がファミコンのクラシックミニを作ったりとか。不思議ですよね。

石川なんでもできる時代になったからこそ「あのころの制限されたもの」をやりたくなる、みたいなことなんでしょうか。

ヒグチ確かにそうですよね。ゲームでも『マインクラフト』が流行って、ずっとやっていられるじゃないですか。どんどん新しい刺激というより、「この1個をやり込みたい」という感覚。『ストレンジャー・シングス』のカードゲームも出ましたよね。そのへんのレトロな、手と頭を使ってやるっていうのが面白いんですよね。

俳優さんも、子どもから大人までいい俳優さんが出ています。それぞれの世代にこの人いいな、と思えるキャラクターがいて。最初はホラー感があるから見れなかったという人も、いざ見てみたら「この子かわいいね」みたいな感じで見れた、なんて話も聞きました。

石川今回、グラニフでコレクションさせていただくにあたって、もちろんグラニフのデザイナーたちは知っていたのですが、他の部署のスタッフにも「本当に面白いから!だからコラボをやらせてもらうんだよ」と話をして布教しました。プロモーション担当や店舗チームにも見た方が絶対いい、仕事も楽しくなる、と伝えたら、「石川さんのせいで寝不足です!」と出社してくるようになりました(笑)。

中村今からだと全部一気に見れるからいいですよね。僕らはシーズンごとに1年とか待ってましたから(笑)。

ヒグチそうですよね。しかもちょうどコロナ禍に入って、再開したときに子役の方たちが大きくなっていて。でも、うまく繋げてくれたのですごいな、と思いましたね。

私も、自分が『ストレンジャー・シングス』を見始めてから、スタッフにもすごい勧めたんです。それで、まだシーズン1のときだったと思うんですが、みんなで一気見しました。みんなホーキンスのスウェットとか、MA-1とか、全身靴から何から恰好も揃えて。途中に出てきたアイスクリームショップの帽子を被ったりしましたね。

石川「SCOOPS AHOY」のやつですよね。当時グッズはなかなか国内だと手に入りづらいので、取り寄せたり、旅行に行ったときに買ったりして集めたり、楽しかったですよね。

■ストレンジャー・シングスの
好きなところ

石川お二人が、『ストレンジャー・シングス』で1番好きなところはどこでしょうか?ストーリー、音楽、クリーチャーなどいろいろありますが、強いてひとつ「ここに惹かれている」というものを挙げるとしたらどこになりますか。

ヒグチ好きなのはデモゴルゴンかな。デモドッグぐらいまでが好きです。ダートが好きすぎて自分で作ってしまったくらいです。あと、子どもの時って大体の子が「ここじゃなくて違うところに行きたい」って、思うじゃないですか。そういう願っていたようなものが、キラキラした世界じゃないにせよ裏側にあるっていう、引力のある設定がいいです。

石川幼少期に「こうだったらな」と思った妄想がある意味具現化されていて、引き込まれますよね。

ヒグチやっぱり、成長する過程でしょうがないことなんですが、大人になっていくときに失くしてしまうピュアさみたいなものがありますよね。あと、キャラクターではロシア(ソ連)組の人たち、アレクセイとか。ホッパーの車とかも持ってるんです。ロビンもすごく好きです。ビリーもなかなかいい味出してますよね。マレーも大好きです。

石川いいですよね。グラニフの社内でも人気でした。登場人物は大きく分けて3世代いますし、それぞれのお話が収束していく面白さもあって、全員が魅力的ですよね。

いざデザインしようとなったとき、どの人にフォーカスを当てるかというのは、社内のデザイン会議でも揉めました(笑)。みんな好きなキャラクターが違うし、1つのデザインに誰と誰が一緒に入るかでも、僕はこの組み合わせ、私はあの組み合わせが好きだってなってきて、難しいですね。出てくるクリーチャーやキャラクターの魅力は、やっぱりすごいです。

中村さんは、どんなところがお好きですか?

中村僕が好きなところは、バランス感覚ですね。コメディーやホラーなど、いろいろなバランスがとてもいい。見る前は、タイトルも黒に赤がバンと入っているから怖い系なのかな?と想像していたんですが、実際に見てみると、人に対してのスプラッター演出みたいなものはそこまでないし、それぞれのキャラクターのバックグラウンドまできちんと描かれていて、感情移入できるようになっていますよね。

あとは『ストレンジャー・シングス』全体が、あの時代の子どもたちがトランシーバーや有線の電話だけを使っていたコミュニケーションや想像力をコンセプトとしている点ですね。情報はテレビ、雑誌、ラジオ、ゲームのみ、みたいな時代ですよね。ネットに繋がっていないから嘘か本当か確かめようもない。今ならネットで調べて「嘘だよ」と言えることも、この時にはなかったから、ノストラダムスの大予言や、テレビ番組のネッシーとか未知の生物みたいなものも信じてたじゃないですか。

僕はその時代の子どもだったから、大人になって見てみると「そういう時代あったよな」と思えたり。だからといって、テーマはノスタルジーに寄りすぎてもいない。今見る人たちのことも考えて、ちゃんと自然にシナリオの中に説明も入れて、当時の差別的価値観も削って作っているところが、とんでもないなと思って。お見事!と思います。

石川その当時を知ってた人たち「だけ」に向けていない作品作りですよね。

中村そうですね。だから全体を通してメタ表現のようになっていたり。例えばシーズン2で活躍するボブの俳優さんは、実は『グーニーズ』の主役・マイキーをされていた方だったりする。でもそれは知らなくてもちゃんと楽しめるでしょ、っていう。すごいですよね。

よくあるノスタルジー系の作品は知らないと楽しめないので若い人は置いてきぼりになっちゃう。でも、『ストレンジャー・シングス』はそんなことないと思って見ています。そういうところも好きですね。

石川なんなら、そうやっていろんなオマージュがあるらしいと聞いて、知らなかったけど調べて、次は『グーニーズ』見てみよう、みたいなことが起きそうですよね。

■ストレンジャー・シングスのグッズや
視聴環境について

中村これ言ってしまうと野暮なのですが、やっぱりネットの配信サービスだからしょうがないんですけど「物でも出して!」って思っちゃいます(笑)。

例えば、『ストレンジャー・シングス』のVHS(家庭用ビデオの型式)の形をしたランプみたいなグッズは出てて、それも可愛いけど第1話だけでいいからVHSに入ったものがドラマを見れば見るほど欲しくなるというジレンマ(笑)ただ、この作品はNetflixに入ってもらうためのメインコンテンツでもあるんですよね。だからNetflixのロゴと似た色使いだろうし。だからしょうがないんですけど、見れば見るほど欲しいなって思いますよ。トランシーバーとか、レプリカじゃなくて『ストレンジャー・シングス』そのもの、といえるようなアイテム。特に日本は代理輸入とかしないと、そういう物がなかなか手に入らない。

そういう意味では今回のグラニフさんのコラボ商品、日本のファンの皆さまは嬉しいと思います。僕も嬉しいです。

石川ありがとうございます。そうなんですね。配信などは、絵を描きながら見れるものなんでしょうか?

*Netflix Branded x GS25のコラボ商品 ポップコーン
(韓国はじめアジア数カ国にて販売中)

ヒグチ私は、そうですね。あと人がいて喋りながらもできますね。石川さんと電話をしているときもずっと仕事していて、平気です。お話を考えてるときだけはちょっと難しいんですが、一旦描くものが決まってしまったら、全然大丈夫です。

石川作業の工程によって、できるできないがあるんですね。

ヒグチそうですね、使っている脳の部分が違うのかもしれません。どちらかに気が取られるから、効率は落ちてるはずなんですけど、そうでもしないと映画も見れないし、打ち合わせもできないので。

石川中村さんも、映画とかを見ながら描けるんですか?音楽のお仕事も多いですが。

中村僕は、見ながらは描けないですね。音楽の仕事の時は、その音楽を聞きながらじゃないとダメな気がして、それだけを聞いています。そのミュージシャンを自分に憑依させてるような状態で、「そのミュージシャンが絵が描けたらこんな絵を描くんだろうな」みたいに考えて制作しています。小説の表紙とかもそうですね。他の物語が頭の中に入ってくると、絵にも混入してしまうので、物語系コンテンツはその期間は見れない。

昔はできたんですけどね。今の僕は脳みそのハードディスクがパンパンで「何か削除しないと次の1本を入れられない」みたいになってるんだと思います(笑)だから、あまりしっかり聞かなくていいような、雑談系のAMラジオとかは聞くときもあります。

石川音としては何かしら流しておきたいものなんですね。

中村そう。もしくは喋ってます。SNSの配信機能や、Discordでサーバー作ったりして喋っていますね。

石川なるほど。やっぱり作家さんごとにスタンスの違いがあるんですね。

ヒグチ私は無音がベスト。映画は唯一観れます。それでも、映画によってはこの人の作品は見ながら描くのは無理、というのはありますね。

石川映画の内容によっても違うのですね。

■ストレンジャー・シングスの
好きなシーンやキャラクター

石川『ストレンジャー・シングス』でお好きなシーンや、好きなキャラクターを教えて下さい。

ヒグチさんは先ほどもいろいろ教えていただきましたが、子どもたちの中でも特に好きなキャラはいますか?

ヒグチうーん、私はもうダスティンかな。あと、マックス、エリカ。ダスティンの彼女(スージー)も最高。

石川かわいいですよね。ダスティンの好きなシーンは?

ヒグチやっぱりダートのところです。あと好きなのは、さっきの、アレクセイとマレー。でも、うちのオフィスで見てたみんなは、ジョナサン好きな人が多かったですね。リバー・フェニックスと似てるって盛り上がったり。

石川ジョナサン、いいですよね。中村さんはいかがですか?

中村僕もダスティンは好きですね。ダスティンの周りの人たちの関係も誠実だし可愛いし大好きです。スティーブとの兄弟のような関係、エディとの師弟のような関係、スージーとのコンビネーション、どれも尊いです。

石川やっぱりダスティン人気は強いですね。かわいいですもんね、わかります。デザインしているときも、気を抜くとダスティンがいっぱいになってしまいます。ダスティンのTシャツとか、探してる人も多いだろうなと。

中村なりますよね、そうなんですよ。

ヒグチアイテムも、ダスティンのものはいっぱい出てますよね。

石川もう一度見たいシーンはありますか?

中村『ネバーエンディング・ストーリー』のテーマを歌ってるところです。あのシーンがやっぱり、すごい好きですね。公式のYouTubeでも切り抜き動画がアップされていて、何回も見てます。サントラにも入ってるんですよね。

石川ありがとうございます。お二人の描き下ろしについて、お話ししたいと思います。

描き下ろしについて

石川ここからは、コラボレーション作品を描いていただいたきっかけなどお話しさせていただければ。お二人とは、まだグラニフが『ストレンジャー・シングス』をやらせていただけるかの検討段階から、お話しさせていただきました。

ヒグチさんと最初にお話ししたのは、たしか夜中に3時間ぐらいお電話させていただいているときに『ストレンジャー・シングス』ご存じですか?って聞いたところからですよね。

ヒグチはい。知ってると言ったら「お好きですか?」と聞かれて「もうそういう次元の話じゃない、すごい見てるんだよ」と話したのをよく覚えてます。

石川他にも、好きな作品はなんですか?というのもいろいろ伺いつつ、じゃあ、もし描いていただく機会があったら、お願いしてもいいですか?とお話しして。

ヒグチそうですね。ありがたいお話でした。

石川こちらこそ、本当にありがとうございます。ヒグチさんはたまに手に入れたフィギュアの写真をSMSで送ってくださったり、仕事の話もそれ以外も結構やりとりさせていただきました。

中村さんも同じ感じでしたよね。その当時は別件で毎週のようにお話しさせていただいていて。当日ご連絡して、その日のうちに打ち合わせすることも多々ありました。

中村そうですね。あとは僕はもともと、Netflixさんと『ストレンジャー・シングス』のシーズン3配信前のタイミングでもコラボイラストを描かせていただいていて。

石川これは商品化する予定はなかったんですよね。

中村作品のプロモーションでしたね。世界中のイラストレーターに、シーズン2のそれぞれの話がコンセプトのイラストを描いてもらう企画でした。

石川それで、中村さんはシーズン2の第6話「スパイ」から描かれたんですね。

ヒグチそれは本や画集にはならないんですか?

中村確かシーズン2の話数分で枚数がそこまでないはずなので、本にはできないんじゃないかな。毎シーズンやったらたくさん集まって、まとめられるかもしれませんね。このときはマックス以外は男の子たちばかり描いたし、『ストレンジャー・シングス』関連のグッズも男性メンバーかデモゴルゴンのものが多かった。もちろんメインが男の子たちだから、というのはあるんですが、女の子たちの扱いがそういう感じなのは『ストレンジャー・シングス』らしくはない、と思っていました。あの子たちにも同時に起こっている物語なわけだし、だから僕が描くなら女性メンバーのみで挑戦したいと考えていました。

好きだったのでやらせてもらえてうれしかったですね。グラニフさんとのコラボ作品の描き下ろしはもう3回目。『サマーウォーズ』『君の名は。』に加えて『ストレンジャー・シングス』までやらせてもらって、もう思い残すことは何もないです。死あるのみ(笑)。

石川いやいや、まだまだ相談させていただきます(笑)。

ヒグチ忙しくても好きなものが来たら、やるしかないってなりますよね。中村さんが言ったみたいなこと、私も去年言っていて。「あ、私もう死ぬな、来年生きて会えないかもしれません」ってオフィスの子によく言っていました。

石川みなさん、そう思うものなんですか。

ヒグチそうですね、好きなものがあまりに続くと。私が好きって思っているって、すごく親しい人しか見ていないはずなんです。SNSではそこまで趣味的な発信もしていないので。

石川ヒグチさんはどこどこに行った、とかも、あまり投稿されないですよね。

ヒグチそう。そういうことはあまり書かないので、好きな仕事が来ること自体が「え?!」みたいな驚きなんです。そういうことが続いていて、ちょっと怖いです。だから、もう終わりが来た気持ち。今回もそうだし、いろんなことが重なって、ちょっともう、「終わりが来ましたね、もう、思い残すことはありません」みたいになっていて。

石川今後お二人が好きだと言ってるものを僕が依頼してしまったら、寿命が近づいてしまうんじゃないかって思うじゃないですか。今後気をつけます(笑)。

中村大丈夫、まだ『バキ』が描けていないので(笑)。

石川そうですね。お二人を驚かせないよう気をつけつつ、これからもいろいろお話しさせてください(笑)。

そんな感じで、この『ストレンジャー・シングス』がもし実現したらお願いします、可能性はあると思うので、本当にやれたらいいね、といったお話をご相談させていただきました。「叶ったら描いていただけますか?」という、ある種何も決まってない案件のご相談をさせていただいて。ありがとうございました。

中村本当、たらればみたいな段階からお話伺ってました。

石川本当にまだ企画が不確かな状態から、こうやってお二人とお仕事させていただけて、とても光栄です。ありがとうございます。

ところで、お二人はどういった制作の進め方をされたんでしょうか?

企画が通って、表の世界を中村さん、裏の世界をヒグチさんに、と依頼させていただきましたが、それを聞いた時に「これを描こう」というか、ラフに行くまでのアイデアや構図は、すぐ頭の中でイメージできるのでしょうか?それとも、ドラマを見直したりして結構長く考えますか?

中村僕はこれまでも、『サマーウォーズ』や『君の名は。』などでも描き下ろしをさせていただいたんですが、毎回すごいせめぎ合いです。

Tシャツって”よく着る服”だと思うので、ワンポイントだったり背景がない方が、扱いやすいし展開しやすい。ファンとしても、そのほうが着やすいっていうのはわかっているんです。でも、僕に求められているものもある。コラボなんて何回もできるものではないので、一度きりの作品の中でそれを全部やらないといけないんですよね。

それでまず、『ストレンジャー・シングス』のファンの方に見せてあげたいものを考えます。自分の描きたいものは無限に出てくるんですが、そういうものは自分の中だけで描けばいいので、消去法で除いていって。思いついてるけど服にしてもかわいくないなとか、これは服にしたらかわいいけど逆に絵を描いていなさすぎて、作品のファンに申しわけないとか。描かなければ描かないほど、パッと見える広告としての力も弱くなるので、それが持てるかどうか、そのうえで着やすいか、売れるか。どれも全然別の話だけど、この一枚の絵を使うわけじゃないですか。だから、その辺を考えてせめぎあいです。

ドラマももちろん見直します。やっぱりドラマだと一瞬しか映らないことがあるので、スクショも撮っていって、ここはこういう形だったんだなと調べたり。

石川今回の作品は要素がすごいですもんね。イラストにもたくさん散りばめていただきました。

中村そうですね。調べるまで見逃して知らなかったこともあります。しかもドラマにはいろんな実在のモチーフが出てくるので、調べたことをそのまま描いたら権利的に複雑なことになってしまいますよね。たぶん『ストレンジャー・シングス』自体は、そのあたりまで許諾を取っているだろうけど、今回のような二次的な企画になると、また別で許諾が必要になることがあると大変なので、それっぽくあるけど、それじゃないというように描いたりして。

石川トランシーバーなど、アイテムに描かれている英語もそうですよね。こちらからお願いする前に、そこまで配慮して描いてくださったので、すごく助かりました。そういった、いろいろ複合的なことを考えて、この絵を作りあげて下さったんですね。

ヒグチさんはいかがでしょうか?最初からイメージはできていましたか?

ヒグチ今のお話のようなことは、私もします。とても複雑でいろんなパターンがあるので、弁護士さんと相談したりして、進めることが多いですね。でも、決めてから描くのは速いです。今回はラフがありましたが、普段はラフがなくても、頭の中にあるものを一気に描いています。

石川「これを描く」って決まったら、頭に浮かんでいるものを一気に描かれるんですね。

ヒグチもちろん、描き上がってから、イメージ通りじゃないというときもあります。これは中断して、別の作品をやろうかな、みたいなことも、ごくまれにあります。

中村さんのお話のようなことだと、私は普段からアパレル関係の作品も自分で手掛けているので、「商品になるための絵」を意識している場合と、してない場合の作品があります。もともとは商品にするつもりでなかったものを商品化することもあります。

それを自分のところで好きなようにやる分にはいいんですが、グラニフさんや提供する相手にご迷惑かけられないという心配はしましたね。『すずめの戸締まり』の時や、今回の『ストレンジャー・シングス』だと、もともとのファンの方がすごく多くいらっしゃる。だからみんなが「いや、これじゃないでしょ」とならないように、というのは、すごく考えましたね。

石川前回の時は、その心配は杞憂に終わるぐらい、とてもたくさんの方に喜んでいただきました。アイデアを思いついて、ラフのOKが出てから作品の完成までは、どれぐらいかかるのでしょうか?

ヒグチOKが出て決まったら、そこからは1日ぐらいで一気にやります。

石川1日で。すごい!中村さんはいかがですか?

中村僕は、全部あわせたら1ヶ月ぐらいはかかりますね。やっぱりドラマをもう1回見たりするので。自分が一度全部見ていても、そのときリアルタイムで見ていた印象と今は違って、現状はどう見えているのかがわからないし、思い出補正も入っていると思うので。とりあえず一度全シーズン見直します。それでもう1回、絵を描くつもりで「これ描いた方がいいかな」と片手はラフを考えながら見て。

今回は本描きがいちばん時間かかりましたね。シルクプリントを使いたかったので、プリントに耐えうるような絵にしないと、というのもありました。やっぱり一番きれいだし、ベタっと乗ってかわいいですよね。

いつもは線を0.1mmぐらいのミリペンで描くところ、0.3mmぐらいで描いていく。でもそうなるとディティールが潰れていくところもあるから、調整しながら、最後まで描く。そういうことで時間がかかりましたが、制作時間を頂けたおかげで満足いくものが出来たと思います。

あと、背面のドット絵も時間かかりましたね(笑)これは実際に升目を描いてから打ちました。やっぱり『ストレンジャー・シングス』なら、後ろにテレビゲームらしきものを描きたい。そこで手を抜いてフォトショップのモザイク加工だけかけてなぜかスーパーファミコン時代のドット絵みたいになっていると、ダファー兄弟が見たときに、絶対違うと思われるだろうなと。「本当に日本人か?あの任天堂の国のクリエイターか?」と思われると思って(笑)背景のドット絵こそちゃんと作ろうと。

一度絵を描いて、スキャンしてからもう一度ドット絵に起こしなおしています。それをさらに、アパレル用に起こしました。昔のファミコンのドットそのままで作ると、意外と細かくなるんです。だから、シルクのためにもっとグリッドを激しくはっきりさせるというか。そういうことで時間がかかりました。

石川細かいところまでありがとうございます。ダファー監督たちがチェックするぞっていうのも、意識して描かれたんですね。

中村僕は、するタイプです。だって『ストレンジャー・シングス』はダファー監督たちのものですから。ダファー監督たちが生み出したものであり、ファンのもの。今回に限らず、見せる見せないではなく、いつもコラボする相手のもの、という意識はしています。消費者としてもそういう商品が好きなんですよね。

コラボ商品について

アイテム 01〜03

■描き下ろしTシャツ

石川今回、お二人の描き下ろし作品はシルクスクリーンのプリントでTシャツにさせていただきました。

我々はTシャツを年中作っていますが、作風を表現しようとすると、やはり簡単ではなくて。1回目のサンプルを出したときは、やはりにじみやすいので少し線が濃いというか、ヒグチさんの作風とは少し違う感じに出てしまって、やり直してもらいました。

今回お持ちした2ndサンプルは良い完成度になったと思います。この後ヒグチさんにも見ていただいて、OKいただいたらこれが最終になります。

ヒグチ私が普段、自分の作ってるものも、シルクだったり手法はいろいろあるんですが、きれいに出すのは難しいですよね。でも現場の都合に描き方を近づけるんじゃなくて、原画を大事にしていただいて。前回のときはすごくきれいに出ていたので、シルクで刷ることを想定してモノクロで描いたんですけど、原画を久しぶりに見たらちょっと浅いなと思って気になってはいたんですが、いいんじゃないでしょうか。このツートーンで作ってるのもいいですね。

石川配置も結構、相談させていただきましたよね。やっぱり、『ストレンジャー・シングス』のロゴも欲しいというお声もいただきました。

ヒグチはい。それも叶ってうれしいです。自分のところで作るものはバンと大きいのが多くて、限界まで大きくするのですが。絵がバンと大きく入るのも、ワンポイントも総柄も、どれも好きなので。でもこういう絵なら、このぐらいのサイズがベストなんじゃないでしょうか。いいと思います。

石川ありがとうございます。すごくかわいいTシャツができました。

石川そして、こちらが中村さん描き下ろしのTシャツです。これは今日の撮影用に急ぎでインクジェットプリントで作ったものですが、実際の商品はシルクプリントでいこうと思っています。

中村さんの作品は今回、黒になる部分は生地の色を生かしてほしいとリクエストいただいたので、そうなります。ただ顔だけは、細かい部分を抜こうとすると、かすれたりしてきれいに見えなくなるので、顔の目は白をひいたあとで黒インクをまた重ねた形のプリントにする予定です。

この中村さんの作品は本当に「あのシーンで見たやつだ!」というのが楽しめるようになっていますね。キャラクターも、実は全員いるんです、男の子たちも。正しい世界と反転した世界になっていて、敵キャラも全部いて素敵なTシャツになりました。

Tシャツ

アイテム 04

■オリジナルTシャツ

石川ここからは、グラニフで作った商品の紹介コーナーをやらせていただいてもいいですか。ぜひお二人のご意見やリアクションをいただければと思います。

まずはゴルゴンベアのTシャツです。グラニフのキャラクターの「コントロールベア」をデモゴルゴン化させてもらいました。

中村ほんとだー!かわいい、グラニフならではですね。

ヒグチいいですね。

石川原宿のキャットストリートにあるグラニフ東京と、大阪のグラニフ心斎橋ほか計10店舗限定で、『ストレンジャー・シングス』の装飾をした店舗を作るのですが、その10店舗限定商品となります。

中村後ろにロゴが入ってるのがいいですね。前にロゴが来ていたら食いあっちゃうので。バランスもすごい!

石川トランシーバー型のカードも作ろうと思っていて、それを持って帰っていただくと、QRコードなどで今回のインタビュー記事が読める予定です。『ストレンジャー・シングス』をお好きな方が楽しめる仕掛けをしようと思っています。

石川もう1つグラニフのキャラクターで作らせてもらいました。

中村あっ、「IKAKU」だ!

石川「IKAKU」というグラニフのシリーズで、デモゴルゴンのIKAKUを作らせてもらいました。本来のデザインでは、このレッサーパンダが「IKAKU」という文字の両脇にいて、バックはザリガニに威嚇してる絵になるんですが、そこもダートになっています。

アイテム 05〜08

■公式ビジュアルTシャツ

石川ここからは『ストレンジャー・シングス』らしいTシャツです。ポスターで4分割されていたものを、再構成させていただきました。

中村メインビジュアルの後ろ姿だ。質感が本当に昔売ってたTシャツみたいですね。ちょっと褪せた感じが最高です。

石川シルクプリントで実写のものをプリントすると色数の制限があるので、4色分解したりする結果、古着感のある仕上がりになります。

石川今度は自転車の4人です。これもポスターからTシャツにさせてもらいました。

中村シーズン2のポスターにありましたね。

石川はい。この辺の集合ものは、もちろん元々のファンに向けてというのもありますが、グラニフにいらっしゃるお客様のなかには『ストレンジャー・シングス』を初めて見る方もいらっしゃいますので。知らない方にも「こういう話なんだよ」とご説明しやすいものを用意したい、という意図もありました。

石川ここからはある種、グラニフの趣味がむき出しな感じになってきます(笑)。ホッパーがジョイスをデートに誘うシーンを、セリフも含めて入れさせていただきました。

ヒグチそうでしたよね、あのシーンの、このセリフ。

中村ウィノナ・ライダーさんが演じるジョイスも素敵なキャラクターなんですよね。

石川他のキャラクターたちのデザインも考えていたんですが、初のコラボレーションということを考えると、やっぱり中心に近い人物だろうな、ということもあって、ホッパーを作らせていただきました。

石川と言いつつ、次はエディです。エディのシーンはやっぱりみんなグッときたので。

中村このシーン!泣ける!!僕のイラストにもエディのギターとピック入れたんですよ。

石川バックには赤い『ストレンジャー・シングス』のロゴが入っています。

アイテム 09〜11

■ビッグT

石川今回は、ビッグTも作らせていただきました。マインド・フレイヤーです。

フロントはウィルが描いたマインド・フレイヤーなんですが、内側に実際に出てきたマインド・フレイヤーの実写の写真が入っています。バックにはきっかけとなったバイヤーズ城が刺繍で入ってます。

中村あ、ほんとだ。すごいかわいい。刺繍こんなに写実的な表現もできるんですね!

石川刺繍でバイヤーズ城をどう表そうかと思ったんですが、きれいにできています。

ヒグチビックTというのって、この見本でサイズはいくつなんですか?

石川これはSSですね。もともとグラニフのTシャツは大きいのですが、それがさらにビッグTになるので結構大きいです。ユニセックスでSSからXLまであります。いつもSサイズを着られる方はSSでもいいかもしれないですし、見え方のお好みにあわせて選んでいただけたらと思います。

石川それから、ボーダーTシャツ。自転車と、バスを飛ばすシーンです。これは全部刺繍で表現しています。

中村ボーダーが道路の線になってる!

石川そしてこのボーダーの配色はマイクが着ていたポロシャツのボーダーをオマージュしています。

中村「使える素材は決まってるけどよくある感じにしないぞ!」というデザイナーさんの意気込みをビンビン感じますね(笑)。

石川いや本当にもう、会議では「ボーダーにするならあのとき着てた柄で~」とか盛り上がってしまうのでデザイナーたちもやらざるを得なくなってしまうんですね。

中村みんなドラマ見てたらそうなりますよね。あれこれ作りたいなって、思いますよね。

石川毎回そういう話になるので、グラニフは会議が長いんです、本当に(笑)。

石川今回は、「2パックアイコンTシャツ」も作りました。2枚入りのパックで、このパッケージの文字もアップサイドダウンしているんです。

グラニフのコラボレーションにしろオリジナルにしろ、全部「グラフィックで豊かな生活を」っていうメッセージを打ち出しているのもあり、ともすれば派手に取られがちのブランドではありますが、さりげないワンポイントのものも欲しいっていう意見はいつもいただくので。でも、好きなシーンがありすぎて、ガンガン入れてしまいがちです。

中村ファンと制作者、作品と商品、そのバランスが難しいんですよね(笑)。

石川せめぎ合いの結果、ワンポイント刺繍でできる企画ものならどうだろう、というので作りました。

色違い柄違いで、2枚セット4,900円(税込)です。エルとデモゴルゴンがそれぞれワンポイント刺繍で入っています。

ヒグチこれも、サイズはいくつかあるんですか?同じもので2枚?

石川そうですね。これもSSからXLのセットがあります。1パックには同じサイズが入っています。

ヒグチあっ、これ、鼻血出てますね。

中村ほんとだ、顔の詳細はないのに鼻血だけはある!

石川そうなんです。鼻血の位置には相当こだわりました。

シャツ、ショートパンツ

アイテム 12〜14

■シャツ

石川次は半袖シャツです。これは2種類作っています。『ストレンジャー・シングス』の名シーンを総柄にしています。ホーキンスのシーンは天地が正しい向きになっていて、裏側の世界は写真が反転しています。そして、ボタンも二層になっています。

中村うわ、ほんとだ!赤と黒になってる。

石川表が黒で、裏が赤です。どこまで気づいていただけるか、わからないような仕掛けなんですが。

中村でも、それがいいんですよね。

ヒグチ私は気付いてましたよ!どっちのシャツも同じボタンですか?

石川はい。『ストレンジャー・シングス』で描かれている、世界が2面ある感じをボタンでも表現できないかな、という工夫のひとつです。

石川もう1種類はデモゴルゴンなんですが、ポケットが真逆についてます。何も入りません(笑)。

中村わあ、最高!裏世界だからさかさまなんですね。

石川ポケットをどうしても使いたかったら逆立ちするしかないんです。

中村あ、見えてる!

石川通常だとこれだけしか見えてないんですが、一度脱いで裏返ししていただくと・・・

中村ほんとだ!結構大きめに入ってますね。いや最高ですね。

ヒグチ中身もしっかり、身体まで入ってるんですね。

石川膝まで入っているんですが、普通に着ている分にはほとんど見えないんです。

中村コーネリアスのCDがよくこんな感じになってます。閉じた箱の中も印刷してるっていう。こういうのって本当にこだわりでしかないから、嬉しくなりますよ。

石川そうです。こだわりでしかない。ありがとうございます。

中村作り手の温度があるじゃないですか。デザイナーさんの温度が、ちゃんと感じられる。

石川やっぱり、見えていなくてもちゃんとデモゴルゴンになってなきゃいけないので、刺繍のサンプルが上がってきたときも「膝のところはもうちょっときれいに」と修正指示を出して。

中村見えない部分だからこそ大切です。

石川そうです。いざシャツにしてみたら、ほとんど見えないじゃないかっていう。

中村「見えないところにお洒落は宿る」とも言いますからね。

石川でもそういうことをしていると、着倒して着れなくなった後、その刺繍の部分だけ切り取って、ワッペンにして別の服にするよとか、そう言って下さる方もいらっしゃるので、やった甲斐があります。

中村そうですね。それは必要なことだと思います。そこはグラニフが手放しちゃいけない、超えちゃいけない一線というか。「見えないんだからここはいらないんじゃない?」みたいなことを言い出したらブランドイメージの危機です!悪魔に魂を売ったみたいになって…。

石川これ、記事を公開したら今後僕がすごい問われることになりますね(笑)。

中村いや、でも、そういうのありますよ。「見えないけどここは手放しちゃいけない」っていう魂の一線。

石川コストとか、そういうことも考えつつ、でもやる!なんですよね。

中村そうですよね。

■ショートパンツ

石川夏に出すということもあり、ショートパンツも作っています。着やすい、デモゴルゴンの総柄です。社内では、どんどん何が派手かわからなくなっていっていて、こういうのを「普通に着やすいよね」と言ってしまうんですが(笑)。

中村自社のものを着てるとそうなるよね。

ヒグチこれもユニセックスですか?

石川はい、ユニセックスで、これもS/M/L/XLの4サイズ展開です。今日持ってきたサンプルは全部Sですね。

中村そうしたら、結構大きいんですね。

石川グラニフのアイテムは、どんどんサイズが大きくなっていってますね。

ヒグチ最近は、他でもXXLとか見かけますね。

中村海外だと日本ではありえないサイズで欲しいと言われたりしますもんね。

ウィメンズ商品

アイテム 15〜18

■ウィメンズフレアT

石川こちらはウィメンズのTシャツです。ホーキンスのロゴは刺繍で、地面のところから切り替えになっていて生地自体が違います。

中村うん、切り替えが地面を模しているんですね。

ヒグチあっ、後ろ側にデモゴルゴンがいますね。

石川はい。そこは刺繍で入ります。隠れてます。

■ウィメンズブラウス(ポロシャツ)

石川ウィメンズのポロシャツも作っていて、ダートです。胸にグラニフが描き起こしたヌガーが入ってます。

中村うわ、すごい。胸元からのぞくんだ。これは実物見たら欲しくなるヤツだ!!

石川これも刺繍で作ってます。ありがとうございます(笑)。

中村こういうの長年待ってました。

石川やっぱり、コラボ商品というと、どうしてもフォトTシャツが多くなるので。

中村フォトT、ロゴTももちろん着やすいし可愛いんですけどね。

石川当然、それが欲しいと思うのもわかるんですが、グラニフがやるならドラマに寄せたいよねっていうのもあって、ポロシャツで作らせていただきました。

中村黒と赤の襟の色もかわいいですね。

石川はい、ちょっと年代感が出るかなというデザインにしています。

中村でも、昔はこんなに丈の短いポロシャツはなかったですけどね(笑)。

石川そうですね、長さは時代ですね。これは僕もまだ、自分が着るものじゃないからというので、完全には飲み込めてないんですが(笑)。

中村あ、今の流行はこれなんだ、みたいなね(笑)。昔「おじさんみたい」ってバカにしてたから今さらシャツインできない自意識の世代ですからね、僕らは(笑)。

■ワンピース

石川ワンピースです。これはレトロ感というか、古着感を出しつつ、ポケットに実は仕掛けが潜んでいます。ここにデモゴルゴンの手が刺繍されていて。

中村で、中を見ると隠れてると。すごい。ポケットは使わないとしても、あったらうれしいですよね。

石川たまに購入していただいてもアイテムの仕掛けに気付かれないこともあります。3ヶ月ぐらい経って、洗濯するとき裏返してみたら初めてここに刺繍があるのに気付いた、みたいな感じのこともあって。

この間も3年前のコラボレーションのポケットに今気付いた、という方がSNSでポストしてくださっていて、「やっと気づいてくれた!」と思いましたね。

■スカート

石川オープニングの「ドゥドゥドゥドゥ」が聞こえてくるかのようなスカートです。これもアルファベットだけではなくて、よ~く見ていただくとシルエットが隠れています。

中村あ、ほんとだ。黒にグレーで入っていますね。

石川もちろんポケットもついています!

雑貨アイテム

アイテム 19〜25

■ハットとキャップ

石川ここからは雑貨アイテムです。まずはダスティンのキャップです。

中村うん、ダスティンのなりきりグッズですね。

石川フロントにヌガーがあって、バックにはダートが。どちらも刺繍で入っています。やっぱりダスティンになりたいっていう思いはみんな共通であったと思うので。

ヒグチこれは、サイズはあるんですか?

石川フリーサイズですが、後ろのベルトで調整していただけるようになっています。

石川そして、僕が今日被ってきたのは、デモゴルゴンのハットです。バケットハットです。デモゴルゴンが3か所にいます。

ヒグチかわいい。

中村あっ、これ絵柄が全部違うじゃないですか。

石川違うんですよ。全部刺繍でやってます。

中村刺繍かわいいですね。バケットハットにどのように絵をつけたら可愛くなるんだろう?と思ってたけどこんなやり方があるんだと驚きました。

■ソックス

石川それから、ソックスもご用意しました。それぞれデモゴルゴンとエル、ヌガーとダートが刺繍されたソックスです。

デモゴルゴンとエルの方はベースがスカートと同じ柄です。先ほどのパックTと同じ刺繍が、それぞれ入っています。どちらの靴下も、右と左で刺繍が違うんですよ。

■お財布

石川さらにお財布も作りました。「ダートを手のひらに乗せたい」を叶えられるアイテムです。

ヒグチかわいい。ああ、なるほど。

中村かわいい、色もいいですね。

石川お財布を開いたところもこだわっていて、お札のところに口を閉じたダートがいて、ヌガーも刺さってます。コイン入れの内側の柄にデモゴルゴンがわらわらっと入っています。

■傘

石川最後が、ビニール傘です。まず、マインド・フレイヤーです。会議で出たアイデアで、雨が降ってなくても夕焼けのときに広げたら、マインド・フレイヤーがいる感じを内側から味わえないかな?というコンセプトです。

中村うん、すごい。なるほど。

石川もうひとつはこちらです。外周はオーロラカラーでできていて、その中に『ストレンジャー・シングス』のロゴと「RUN」がプリントされています。

ヒグチ電飾柄って、結構商品化したものが多いので、逆に傘で持ってきたっていうのが、いいですね。

石川何をやっても既視感があるかなと思ったんですが、傘ならどうだろう?と。「R」「U」「N」だけ蓄光にするとか、アイディアはいろいろ出たんですが。

ヒグチ蓄光はなかなか難しいですよね。暗いシーンで使うことも少なそうだし。

石川そうなんですよね。ということで、このデザインに落ち着きました。

終わりに・先への展望

■これから欲しいコラボ商品

石川こんな感じのラインナップで、今回のコレクションを作らせていただきました。

ヒグチ次のシーズンの配信開始にあわせてくるかな?と思ったんですが、違いましたね。

石川公開を待ちきれませんでした。でも、現時点で今回のコレクションはかなり好評になるだろうと思うので、個人的には第2弾をやりたい思いがあります!

というわけで、第2弾がやれるとしたら「こんなアイテムが欲しい」というものはありますか?『ストレンジャー・シングス』で出るのをずっと待ってるものとか。

中村ビデオ!(食い気味に)

石川ビデオですよね、お話の流れからしたら(笑)。

中村そう。ビデオが欲しい(笑)。だからせめてビデオ型の何か。例えば、Tシャツのパッケージがビデオの形になってるものは他でも見たりするんですが、日本のVHSのケースは大きめのプラケースでしたが、海外のものってピッタリサイズの紙のパッケージに入ってることがすごく多いから、ああいうのが欲しいです。

石川あ、いいですね。

中村また別の権利のあれこれが発生して難しいかもしれませんが(笑)。

石川例えば…ワッフルの箱とかですか。

中村そうですね。あと、グラニフさんは最近水筒とかも出されているから、水筒とか、腕時計あたりはもっとあってもいいかもと思いますね。あと、手袋とか、あったらかわいいんじゃないかな。

石川秋冬シーズンのものを作りたいですね。

中村今回は夏のものですもんね。

石川そうなんです。モッズコートとか出してもかわいいと思いますし、やりたいものはいっぱいあります。

ヒグチ秋冬物で、またやってください。

石川はい、かしこまりました!

■二人が描いてみたい作品

石川最後に、実現できるかはわかりませんが、Netflix作品などで「これが描きたい」という作品はあったりしますか?

中村『バキ』!!(食い気味に)

石川中村さんは、もう、そうですよね(笑)。僕が言い終わる前にもう「バ」の口になってました(笑)。

ヒグチ私は『もう終わりにしよう。』と『悪魔はいつもそこに』が大好きです。

石川そんなところで、本日のインタビューは以上です。今日はお二人にたっぷりお話をお伺いできました。中村さん、ヒグチさん、ありがとうございました。

中村ヒグチありがとうございました。

作品紹介:『ストレンジャー・シングス 未知の世界』について

Netflixシリーズ『ストレンジャー・シングス 未知の世界』は、1980年代の小さな町ホーキンスを舞台に、突然姿を消した少年ウィルの失踪事件と突如現れた謎の少女イレブンを巡り、想像を超える不可解な事件に巻き込まれながらも、少年たちが友人や家族たちを守るために事件解決に立ち向かうミステリー・アドベンチャー。80年代の名作映画へのリスペクトが込められたドラマチックな展開と緊張感あふれるスリラー描写、そして心躍る子供たちの友情と冒険が組み合わさった本作は、2016年のシーズン1配信開始以来、全世界で大ヒット!世界中に社会現象とも言えるムーブメントを巻き起こしている。現在シーズン1〜4を独占配信中。

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プレゼント情報

Profile

中村 佑介

1978年生まれ、兵庫県出身のイラストレーター。大阪芸術大学デザイン学科卒業。ASIAN KUNG-FU GENERATIONのCDジャケットをはじめ、『謎解きはディナーのあとで』、『夜は短し歩けよ乙女』、コンバースとのコラボスニーカー、音楽の教科書など数多くのアートワークを手掛ける。画集『Blue』と『NOW』は13万部を記録中。

ヒグチユウコ

画家。2019年から2023年まで、国内の10会場の美術館にて展覧会「ヒグチユウコCIRCUS」を開催。

ギャラリー「ボリス雑貨店」を2019年にオープン。オリジナルアイテムからホルベインとのコラボレーションまで多数の作品を手がける。著書に『せかいいちのねこ』シリーズ、『BABEL Higuchi Yuko Artworks』など。

株式会社グラニフ
ライセンスプロデューサー
石川 祐

グラニフのコラボレーション責任者。コラボ商品の企画立案から商品リリースまでを総合プロデュース。作家や作品に寄り添い、一人のファンとして、商品開発に取り組んでいる。趣味はエンタメ全般、他人の趣味の話を聞くこと。

編集:石川祐 / 文章:Kao / 写真:泉大悟

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