大好評だった2021年春に続き、ムーミン×グラニフのコラボレーションが秋冬も実現。
アニメなどでもおなじみのムーミンですが、単なるキャラクターではなくて、
絵のひとつひとつにストーリーがあるのをご存知でしたか?
今回は、愛好家としてムーミン公式サイトでもブログを連載するフリーライターの萩原まみさんをお招きして、
コラボアイテムはもちろんのこと、現在公開中の映画『TOVE/トーベ』でも注目を集めている
原作者トーベ・ヤンソンと、ムーミンについても詳しくご紹介します。
フィンランドの多才な芸術家、
トーベ・ヤンソンが生み出したムーミン
世界中、幅広い年代の人々から愛されているムーミン。丸く愛らしい姿に、思わず「ねぇ、ムーミン」と呼び掛けたくなってしまいますが、実は「ムーミン」というのは種族名で、主人公の名前は「ムーミントロール」といいます。カバでも妖精でもなく、フィンランドの作家トーベ・ヤンソンが作り出した“生きもの”なのです。
『小さなトロールと大きな洪水』
1914年、フィンランドの芸術一家に長女として生まれたトーベは、幼い頃から画家を志しました。第2次世界大戦のさなか、辛い現実から逃げるように最初のムーミンの小説『小さなトロールと大きな洪水』を書き始め、1945年に出版。『ムーミン谷の彗星』、『たのしいムーミン一家』と巻を重ねるごとに読者が増えていき、1954年にイギリスの大手夕刊紙でムーミン・コミックスの連載が始まったことから、さらに人気が高まります。トーベは9冊のムーミンの小説とコミックスのほかに、絵本、絵画、壁画、風刺画、大人向けの小説など、さまざまな分野で活躍し、作品を残しました。
『ムーミン谷のなかまたち』
日本でアニメ『ムーミン』が放送されたのは1969年。1978年にはポーランドでパペットアニメが作られ、1990年に再び日本で『楽しいムーミン一家』が始まりました。トーベ自身が監修で関わったこの作品は、世界約60カ国で繰り返し放送されて、大ブームに。最近ではフィンランドとイギリスによる共同制作のCGアニメーション『ムーミン谷のなかまたち』を通じて、また新たなファンを獲得しています。
ムーミンシリーズが国や世代を超えて多くの人々を魅了する理由のひとつは、物語に大勢登場する個性豊かなキャラクターたちの存在。トーベはスウェーデン語系フィンランド人という言語的少数者であり、後半生を共に生きたパートナーは女性でした。多様な生きものたちがお互いの違いを認め合いながら共存するムーミンの物語は、複雑な現代を生きる私たちを癒やすと同時にたくさんのことを教えてくれます。
今回のコラボは、そんなムーミンの世界観への共感から生まれました。グラニフのデザインチームがフィンランド研修旅行の際に訪れたムーミン美術館で感じ取ったトーベの色づかいや北欧テイストも取り入れつつ、ムーミンの物語に寄り添いながら、性別や年齢問わず誰もが着やすいデザインを意識しました。
今回のコラボレーションでは、あえてサブキャラにも着目。より深くムーミンを知ってほしい、原作を読んでもらいたい、という気持ちが込められています。グラニフらしい、グラニフならではのアイテムの数々、ひとつひとつじっくりとご覧ください。
暗いところで輝く
蓄光のしっぽがポイント!
ムーミントロールご自慢のしっぽの毛が薄くなってしまい、ムーミンママの煎じ薬を飲むと、しっぽが光りだすワンシーン。
コミックスの人気エピソード「黄金のしっぽ」から、暗闇でしっぽが光る個性的なトップスが誕生。しっぽのフサフサを蓄光糸で表現。真っ白な姿はふんわりした相良(さがら)刺繍、バックにはコミックスのコマを添えました。
もじゃもじゃが秋冬に
ぴったりないたずらスティンキー
コミックスのみ登場するスティンキーは、いたずら好きな性格とユーモラスなルックスが人気。悪だくみをしては平和なムーミン谷に騒動を巻き起こします。
相良刺繍のスティンキーは存在感抜群ですが、トーンの異なるブラックに載せて着こなしやすい雰囲気に。バックの首元には、何でもかじってしまうスティンキーを象徴する魚の骨の刺繍入り。
おてんばで元気いっぱいの
リトルミイがキュート!
体は小さいけれど、マイペースで勇敢なリトルミイ。新聞紙を突き破って遊んだり、雪を滑り降りたりと、いつも元気いっぱいです。
秋冬らしい柔らかな杢グレーボーダー長袖Tシャツ。左胸と左後ろに添えたリトルミイの刺繍が楽しいアクセント。
おっとり穏やかなムーミントロール、
怒り顔のワケは?
しっぽが光りだして人気者になったムーミントロールですが、怪しい商売を持ちかけられたり、ファン対応に追われたりで、だんだんと不機嫌な顔に……。
ムーミントロールのちょっと珍しい怒った顔、ぎゅっと握った手、バックにはムスッとした表情をプリントした長袖Tシャツ。
小説の一場面を生かした
大人顔のシャツワンピ
ムーミン谷が洪水に見舞われ、流れてきた劇場に移り住んだムーミンたち。ところがムーミントロールとスノークのおじょうさんが取り残されてしまいます。劇場を探す道中、知り合ったフィリフヨンカと、小さなヘムルの家でお茶をごちそうになる場面です。
小説『ムーミン谷の夏まつり』のモノクロ原画に、北欧らしい色を載せた長袖シャツワンピース。ムーミン×グラニフのWネームのロゴ刻印入りオリジナルボタンにもご注目。
隠れファンも多い
孤独なモラン
大きな体でのっそりと現れ、冷気で辺りを凍らせてしまうため、みんなから恐れられている女の魔物、モラン。明るく温かいものに引きつけられる性質があり、小説『ムーミンパパ海へいく』ではムーミンやしきに灯るランプの光に吸い寄せられるように姿を見せました。
原画の繊細なタッチをそのままグレー地のTシャツに載せました。窓の明かりとモランの目を黄色で描き、ノスタルジックに表現。
姿が見えなくなってしまったニンニを
優しく見守るムーミン一家
短編集『ムーミン谷の仲間たち』収録の「目に見えない子」に登場。おばさんから辛くあたられ、体が透明になってしまった少女ニンニが、ムーミン一家の優しさに触れ、自分を取り戻していく、心に沁みる物語です。
ムーミンママを慕って後をついていくニンニ、心配そうに見守るムーミントロールとムーミンパパ。ママが縫ってあげたワンピースとリボンの赤をポイントに。
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撮影/村本祥一<BYTHEWAY> 取材&文/萩原まみ